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【星色の回忆录】 ~明戸绅アナザーストーリ~

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百度


1楼2009-01-03 20:05回复
    ~明戸绅アナザーストーリ~






    风がそよぐ。 
      
     頬にかかる髪を耳にかけた。 
     校庭に并んだ木々は、见た目にも淋しい。 
     伸びた枝には、まだ桜の花は咲いていない。 
      
     けれど、周囲にはたくさんの笑颜と共に、色とりどりの花が溢れていて、息をするたびに微かに花の香りがした。 
      
      
     わたしは人波から少し离れた场所に立つ。 
     桜の木が影になって、少し肌寒い。 
      
     校门をじっと见つめる。 
      
      
     「美海せんぱーい!!」 
      
      
     声がする方を向くと、女の子が二人こちらに向かって駆けてくる。 
     部活の后辈达だ。 
      
      
     「先辈、卒业おめでとうございます!!」 
      
      
     頬を赤らまさせ、白いブレザーの下の肩が上下している。 
     そんなに急いで走らなくてもと、思わず笑みを溢してしまう。 
      
      
     「ありがとう」 
      
     「あー……遂に行っちゃうんですね。先辈がいないと、淋しいです……」 
      
     「このまま付属の大学に进むだけだから会おうと思えばすぐに会えるよ」 
      
     「そーですけど……」 
      
      
     そういって眉を下げる姿が可爱くて、わたしは彼女の头に手を伸ばした。 
     わたしよりも体が大きい彼女だけど、少し照れくさそうに笑いながら、大人しく头をなでられる。 
     そういえば、よくわたしもこうして头をなでてもらってたな。 
      
      
     「そういえば、先辈。こんな所でどうしたんですか?」 
      
     「あ、うん。……ちょっと人を待ってたの」 
      
     「人? あ、恋人とか!」 
      
      
     『恋人』といわれ、一瞬きょとんとする。 
     だけど、考えてみれば确かにそういうものかもしれない。 
     小さな顷は、よく『大人になったら结婚する』なんて言ってたっけ。 
      
      
     「んー……。そんなとこ、かな?」 
      
      
     少し思わせぶりに言ってみる。 
      
      
     「やっぱりそうなんだ!!」 
      
     「あー。美海先辈、可爱いですもんねー」 
      
     「じゃあ、私达お邪魔する前に退散しますね! 清香、いこっ!」 
      
     「うん!」 
      
      
     わたしの言叶を真に受けて、二人はこの场から立ち去る。 
     少し悪いことをしたかもしれない。 
      
     わたしは、远くなっていく二人の后ろ姿をしばらく眺めた后、再び校门の方に目を向けた。 
     待ち人の姿はない。 
     やっぱり、来るわけないか。 
     そう思った时だった。 
      
      
     「美海!」 
      
      
     声をかけられ振り向く。 
     そのスーツ姿にわたしは目を丸くした。 
      
      
     「お兄ちゃん!! 来てくれたの!?」 
      
     「うん」 
      
      
     绀のスーツに身を包み、现れたのは、待ち人である兄その人だった。 
      
      
     「仕事は!? 今日、定休日じゃないよね!?」 
      
     「店长に言って、休み入れた」 
      
     「何で……」 
      
      
     言叶が诘まる。 
     正直、本当に来るとは思わなかった。 
     兄には仕事があったし、第一今日のことは伝えてもいない。 
      
      
     
     「何でって……。折角のお前の卒业式だもん。见ないわけいかないじゃん」 
      
      
     そういって、兄はわたしの头をなでる。 
     こういうところ、ちっとも変わってない。 
     兄にとって、わたしはまだ小さい子供なんだろう。 
      
      
     「卒业式……见てくれてたの?」 
      
     「うん。见た。答辞スゲー格好良かった」 
      
     「わー、耻ずかしい……。来るなら言ってくれれば良かったのに……」 
      
     「だって、お前のことだから『来るな!』って言うと思って」 
      
      
     『言わないよ!』と反论しようとしたけど、途中でやめた。 
     确かに、兄に卒业式のことを教えなかったのは自分だ。 
     母にもそのことを口止めしてもらっていた。 
    


    2楼2009-01-03 20:08
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       仕事で忙しい兄に迷惑をかけたくなくて、わざと伝えなかった。 
       まあ、忘れていなければ卒业式が间近だということはすぐに分かってしまうのだけど。 
       それでも、自分から『来て欲しい』なんて言えなかった。 
        
        
       でも、それでも……来ないと思っていたのに、どこか来ることを望んでいたのも确かで。 
       今、兄がこの场に现れたことを喜んでる自分がいる。 
        
        
       「……母さんは?」 
        
       「あ、多分保护者の集まりで教室に残ってると思う」 
        
       「そっか」 
        
        
       兄は左手をポケットにいれ、辺りを见渡した。 
       まるで思い出にでも浸るように、目を细めて、口元に笑颜なんか浮かべながら。 
       もしかしたら、なくなった自分の学校と重ねているのかもしれない。 
        
        
       「美海」 
        
       「え?」 
        
       「これからどうすんだ? もう自由に帰って良いんだろ?」 
        
       「あ……」 
        
       「车、あるけど。何だったら、友达も一绪に送ってくぞ? どうせ、お前この后どっか行くんだろ?」 
        
       「あ、うん……」 
        
       「どうする?」 
        
        
        
       闻かれて、私は考える。 
       确かに友达には、后で游びに行かないかと诱われてはいる。 
        
       兄をじっと见つめる。 
       兄はこの后どうするんだろう。 
       仕事を休んだということは、今日一日予定は空いていると考えても良いのだろうか。 
        
       しばらく悩んで、答えた。 
        
        
       「……ううん。いい」 
        
       「そっか?」 
        
       「うん。いい。どこにも行かない」 
        
        
       后で友达には谢ろう。 
       诱ってくれたのは嬉しいけれど、こうして兄を独占出来る机会なんて最近では灭多にない。 
       今日は一日、家族水入らずで过ごしたい。 
       自分たちより兄を优先したといったら怒られるだろうか。 
        
       意外そうに见つめる兄に、わたしは提案した。 
        
        
       「どこにも行かなくてもいいから……ねえ、お兄ちゃん。少し二人で歩かない?」 
        
        
        
        
        
       ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
        
        
        
        
        
       「……いいのか? 学校胜手に出て。母さんはどうすんだ?」 
        
       「いいの! すぐに戻るもん!」 
        
        
       兄の袖を引っ张り、门の外に连れだす。 
       最初は踌躇していたのに、わたしが袖を离しても黙ってついてきてくれる。 
        
        
       通い惯れた通学路。 
       二人、とぼとぼと歩く。 
        
        
       こうして、兄と二人きりで歩くのは何年ぶりだろう。 
       小さい顷は、よく実家の田んぼ沿いを手を繋いで歩いた。 
       でも、大きくなるに连れて、兄やわたしが互いに忙しくなって、そんなことをする机会もなくなっていた。 
        
        
       青い空。 
       桜并木。 
       お兄ちゃんとわたし。 
        
        
       周囲に人はいるはずなのに、どうしてだろう。 
       今、この瞬间には、わたしと兄の二人だけしかいない。そんな风に感じてしまう。 
        
        
       兄は、桜の木を见つめながら歩いていた。 
       その表情からは、何を考えているかは分からない。 
        
        
       じっと见ていると、视线に気づいた兄は、わたしに微笑みかける。 
        
        
       「どうした?」 
        
       「あ、うん……」 
        
        
       何だか、目线を合わせるのが気耻ずかしくて、つい反らしてしまう。 
        
       歩く速度を少しだけ上げる。 
       わたしは、兄を追い越して前を歩いた。 
        
        
       「何か、元気ないのな」 
        
        
       背后から闻こえる兄の言叶。 
       わたしが返す言叶を探していると 
        
        
       「俺が来るの嫌だった?」 
        
        
       意外な言叶が兄から返ってきた。 
       すぐに反応が出来ず、立ち止まる。 
      


      3楼2009-01-03 20:08
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         「ごめん」 
          
          
         呟くように闻こえた。 
         慌てて振り返ると、そこには少し哀しそうな颜をした兄の姿があった。 
          
          
         「そ、そんなことないよ! お兄ちゃんが来てくれて良かった!! すごく嬉しい!!」 
          
         「……うん。なら、良かった」 
          
          
         その言叶に、ずきりと心が痛んだ。 
         兄は、立ち止まったわたしの横を通り过ぎると、ぽんと头に手を置いた。 
          
         头に残る感触。 
         懐かしい记忆が苏る。 
          
         そのまま兄はわたしを追い越し、前を歩いた。 
         広い背中が眩しくて、少し目を细めた。 
          
         ボーッとしていると、いつの间にか距离が开いてしまって、わたしは慌てて兄の背中を追いかけた。 
         ああ、そういえば昔にもこんなことあったなと思い出しながら。 
          
          
          
          
          
         ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
          
          
          
          
          
         あれは、わたしがまだ小学生だった顷。 
         ちょうど、母が父と别れて一年くらい経った时だろうか。 
         クラスで授业参観があった。 
          
         うちは母子家庭で、母は忙しい人だったし、来られないことは十分に分かっていた。 
         母は、仕事を休むと言ってはくれたが、别にそのことに対して特に执着もしてなかった。 
         クラスで片亲なのは、わたしだけではなかったし、そのことで谁に责められるわけでもなかったから。 
         わたしは母の申し出を断った。 
         母は申し訳なさそうにわたしに谢った。 
          
          
          
         授业参観当日。 
         教室に続々と绮丽に着饰った亲达が入ってきた。 
         わたし达は、一人一人、あれは谁の亲だと噂しあった。 
         始めは文句を言っていた子も、いざ自分の亲が来ると嬉しそうに笑っていたのが印象的だった。 
          
         やがて先生がやってくると、教室内がしんとする。 
         いつもとは违う雰囲気。 
         紧张と歓喜が入り交じったような奇妙な空间。 
          
          
         そんな时だった。 
          
          
         「すみません!」 
          
          
         がらっと音を立て、制服姿の兄がやってきた。 
         その瞬间、周囲がざわついたのが気になった。 
          
          
         兄は、わたしと目が合うと右手で小さく手を振った。 
         わたしは、そのことが少し耻ずかしくて手を振り返すことなく、向き直った。 
          
         その后のことはよく覚えていない。 
         先生の言叶も、友达の会话も、よく耳に入ってこなくて。 
         ただ、后ろにいる兄の姿が気になって、时々振り返って确认していたのだけは覚えている。 
          
          
          
         「…………」 
          
         「…………」 
          
          
         帰り道、わたしと兄は手を繋いで歩いた。 
         どちらとも话すわけでもなく、ただ黙って。 
         握った手が温かかった。 
          
          
         空を仰ぐ。蜜柑色の空。 
         视线を横に移す。 
         仄かにオレンジに染まった兄の横颜。 
          
          
         静かすぎる空気。 
         微妙な沈黙に耐えられなくなって、わたしは勇気を出して兄に闻いてみた。 
          
          
         「今日……耻ずかしかった?」 
          
          
         质问の意味が分からなかったのか、兄は讶しげな颜をした。 
          
          
         「今日、美海の教室に来て耻ずかしかった?」 
          
          
         もう一度、今度はハッキリとした声で闻いた。 
         歩く足が止まる。 
         兄はしばらく黙った后、繋いだ手の反対侧をわたしの头に乗せ言った。 
          
          
         「あるわけないだろ。そんなこと」 
          
          
         兄の言叶にわたしは俯く。 
          
          
         嘘。 
         本当は、すごく耻ずかしかったんだ。 
          
         だって、见てたから。 
         心ない人たちが、兄の姿を见て口々に何か话していたことを。 
         深く意味は分からない言叶も、それが良いことか悪いことかくらいは判别がつく。 
        


        4楼2009-01-03 20:08
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           兄は何でもないふりをしていたけど、きっと我慢していたんだ。 
           何故なら、兄の手は终始ぎゅっと强く握られていたのだから。 
            
            
           「……美海は、耻ずかしかったか? その……俺が、授业见に来たこと……」 
            
            
           兄は、俯くわたしの颜を覗き込んだ。 
           その颜は、すごく心配そうで 
            
            
           「绅君……」 
            
            
           わたしは、そんな兄の姿を见て、自分が少しでも耻ずかしいと思ったことが申し訳なくなった。 
            
            
           「…………」 
            
           「……ううん! すごく嬉しかった!!」 
            
           「……そっか」 
            
           「うん!」 
            
           「……良かった」 
            
            
           ふっと笑う兄を见て、わたしは嬉しかった。 
           兄は、わたしの头を优しくなでる。 
            
           その手が温かくて。 
           あまりにも夕焼けが绮丽で。 
            
           わたしは、泣きたくなった。 
            
            
           「ねえ、お兄ちゃん」 
            
            
           わたしはあの时、言わなかったけど。 
           言えなかったけど、本当は……。 
            
            
           「ん?」 
            
            
           来て欲しかった。 
           来て欲しかったんだよ? お兄ちゃん。 
            
           だからあの时、お兄ちゃんが来てくれて本当に嬉しかったんだ。 
            
            
           「あのね……」 
            
            
            
            
            
           ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
            
            
            
            
            
           高く、远い空。 
           薄青の空には、同じく薄く伸びた云。 
           低く声をあげる飞行机。 
           やがて、耳の奥へと消えていく。 
            
            
           あれから何年経ったことだろう。 
           今、兄と二人、道を歩く。 
           兄の背中を见つめながら、あの顷の自分と今の自分を重ねてみる。 
            
           あの顷とは违うこと。 
            
           背が大きくなった。 
           料理が出来るようになった。 
           バイトが出来るようになった。 
            
           大人になった、ということかもしれない。 
            
            
           「……で、今日はどうしたんだ? 卒业式でナーバスになってんの?」 
            
            
           声をかけられて、ハッとする。 
           つい、物思いに耽っていたようだ。 
           歩く足を止めていた。 
            
           颜をあげ、兄をまっすぐに见つめる。 
           わたしに声をかけた兄の歩みは止まらない。 
           気づけば、离れていく背中に距离を感じる。 
           そのことに焦りを感じて、わたしは勇気を出して言った。 
            
            
           「……っ。だ……大学のこと……!」 
            
            
           声が上擦る。 
           喉の奥が痛い。 
            
            
           「ああ、大学。そういえば、良かったな。无事に行けて。确かこの辺にあるんだっけ?」 
            
            
           兄の『大学』という言叶に体が强张る。 
            
            
           「お前、头良いもんなー」 
            
            
           そういって笑う兄とは裏腹に、わたしは俯いてしまう。 
            
            
           「ごめんね。迷惑かけて……」 
            
            
           ぎゅっと手を握る。 
           影が映ったアスファルト。 
           どんどんと视界が狭くなっていく。 
           胸が苦しい。 
            
            
           「美海」 
            
            
           すっと、目の前が暗くなる。 
           わたしの影にもう一つが影が重なる。 
           惊いて颜をあげると、目の前に兄がいた。 
            
            
           「あるわけないだろ。そんなこと」 
            
            
           きっぱりとした声だった。 
            
            
           「え?」 
            
           「言っておくけど。俺は迷惑だなんて思ったこと、一度もないからな?」 
            
           「ったく、そんなこと気にしてたのか。お前、马鹿だなー」 
            
            
           『だって』と言いかけた言叶を呑み込む。 
            
           『だって、私のせいでお兄ちゃんの时间を犠牲にした』 
            
           兄にやりたいことがあるくらい分かっていた。 
           それをわたしが幼かったせいで、我慢してくれたことも。 
            
           お兄ちゃんはいつだって。 
          


          5楼2009-01-03 20:08
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             お兄ちゃんはいつでも。 
             それこそ、毎日、毎时间。 
             自分が苦しい时も、哀しい时も。 
              
             わたしやお母さんのことを一番に考えてくれて……。 
              
             小さい顷はそれが当たり前で、だけど、そのことがもどかしくもあって。 
              
             どうして、わたしは何もできないんだろう。 
             どうして、わたしは子供なんだろう。 
             そんな风に思っていた。 
              
             だけど、大人になった今。 
             わたしはその恩を返すことなく、自分の行きたい道へ进もうとしてる。 
             小さい顷は、早く大人になりたくてしょうがなかったはずなのに。 
             早く大人になって、兄や母を助けるつもりだったのに。 
             だけど、また自分の道を优先してしまう自分自身にどうしようもなく腹が立つ。 
              
              
             喉が热くてたまらない。 
             体が小刻みに震えてる。 
             唇に雫が伝って、少ししょっぱかった。 
              
             そう。いつの间にか、わたしは泣いていた。 
              
             兄は、泣きじゃくるわたしの头を优しく抚でてくれる。 
             屈んでわたしの颜を覗き込む。 
             指で涙を拭ってくれる。 
              
              
             「ごめん……。ごめんね、お兄ちゃん……」 
              
              
             何度も何度も頬に雫が伝う。 
             止まらない。 
              
             涙が。 
              
              
             「わたし……お兄ちゃんだって大学行きたかったのに、お兄ちゃんはわたしのせいで谛めて……」 
              
              
             言叶が。 
              
              
             「それなのに、わたしばっかり…………」 
              
             「だから、わたし……お兄ちゃんに申し訳なくて……っ」 
              
              
             言叶が、涙と一绪にぽろぽろと溢れていく。 
             まるで、今までせき止めていたもの全てをさらけ出すように。 
              
              
             「良いんだよ、别に。第一、俺が我慢したわけじゃないだろ?」 
              
              
             泣いているわたしをあやすように、兄は优しい声で言った。 
              
              
             「……お前は、よく顽张ったよ。今までさ」 
              
             「勉强顽张って、奨学金までもらってさ……スゲーと思う。流石、俺の自慢の妹だよ」 
              
             「普通だったらさ、色々と游びたいとか思うだろ。だけど、お前はそれを……别に游んだって良かったのにさ」 
              
             「だからさ、别に泣いたり谢ったりすることなんてない。大学行けるのはお前が顽张ったからだろ?」 
              
              
             兄の言叶に更に涙が溢れてきた。 
             兄は、泣き崩れそうなわたしをぎゅっと抱き寄せてくれる。 
              
              
             「美海。……卒业おめでとう」 
              
              
             耳元で嗫かれた言叶。 
             わたしは、大好きな兄の匂いに包まれ、更に泣いた。 
             兄は、困ったように笑いながらも、わたしが泣きやむまでずっとこのままでいてくれた。 
              
              
              
              
              
             ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
              
              
              
              
              
             春の风が吹く。 
             肌に触れる风はまだ少し冷たい。 
              
             一体、いつまでこうしていたかは分からない。 
             いい加减泣くのにも疲れて、颜をあげる。 
             多分、すごく目が肿れてるんだろうなと思ったけれど、今日は幸いなことに卒业式だ。 
             周りから変な目で见られることもないだろう。 
              
             わたしと目が合うと、兄はわたしの后ろを指さした。 
              
              
             「……ほら、美海。あれ、见てみろ」 
              
              
             声をかけられ、兄の指さす先を见た。 
             枝の先の蕾だった。 
              
              
             「桜……」 
              
             「もう蕾がついてたんだな。カメラ持ってくれば良かったかな」 
              
              
             その言叶は、あまりにも兄らしいものだった。 
             思わず笑みを溢すと、兄もつられたように笑った。 
              
              
             「泣きやんだ?」 
              
             「うん……」 
              
              
             优しい言叶、优しい笑颜。 
              
             大好きな兄。 
              
             きっと、わたしにとっての『兄』は、他の『兄』より大きな存在だ。 
              
              
             「……お兄ちゃん」 
              
             「ん?」 
              
             「……わたしね、生まれ変わったらお兄ちゃんの恋人になりたい」 
              
             「は?」 
              
             「お兄ちゃんは炊事洗濯も出来るし、格好いいし、恋人になったら绝対友达に自慢するもん」 
              
             「お前、いきなり何言って……」 
              
             「それか、お兄ちゃんの子供になりたい」 
              
             「お兄ちゃんの子供だったら、绝対幸せだし、いっぱい我が尽いって甘えて……って、それは今もだけど……」 
              
              
             わたしにとっての兄は父であり、理想の恋人だ。 
             大好きで、尊敬出来る人で、多分この人を越えられる存在なんていないんじゃないかと思う。 
              
              
             「でもね。でも……やっぱり……」 
              
              
             人によっては、それはおかしいと思うかもしれない。 
             でも、それでもやっぱり、わたしにとって兄は世界で一番大切な存在だ。 
             谁に何ていわれようとも、これだけは変わらない。 
              
              
             「わたし、生まれ変わってもお兄ちゃんの妹でいたい」 
              
              
             明戸绅は、わたしの最高の兄だ。 
              
              
             「美海……」 
              
              
             少し惊いた颜。 
             何だかおかしくて笑ってしまう。 
              
             ねえ、お兄ちゃん。 
             わたし、ずっと迷惑かけてきたね。 
              
             多分、これからも迷惑や心配をかけるかもしれない。 
              
             だけど、少しずつ大人になっていくから。 
             少しでもその负担を减らしていくから。 
              
             だから、どうか幸せになって下さい。 
             色んなことで迷惑かけた分、我慢した分、いっぱいいっぱい幸せになって欲しい。 
             それだけが、贵方の妹としての愿いです。 
              
              
             「お兄ちゃん。あのね……」 
              
              
             小さかった顷のわたし。 
             大きくなった今のわたし。 
              
              
             あの时のわたしも、今のわたしも変わらない。 
             伝えたかった言叶はただ一つ。 
              
              
             「ありがとう。わたし、お兄ちゃんの妹で良かった」 
              
              
             END 
              


            6楼2009-01-03 20:08
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